恥ずかしいからブログで上司である俺から君へ伝える!

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小林くんへ その10 〜なんでわかってくれないんだ!その気持ちを大切に〜

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小林くん

 

今日、小林くんは私に怒ったね、「なんでわかってくれないんすか?」って。私は極めて冷静に話をしたつもりではあるけれども、会社としての立場(小林くんからすると私は会社の立場)とお客さんの立場(小林くんはこの立場だったね)で、利害は一致しないから余計にそうなったんだと思うけど、改めてきちんと伝えておきたい。

 

まず、小林くんの立場である、お客さんの話だ。端的に言うとお客さんの要望は

「サービスの改善をすぐにして、さらに値段も下げてほしい」というものだ。

 

この要望自体はもちろん、理にかなっているし、お客さんだから言う権利はある。何も間違ってはいない。

 

そして、会社の立場(つまり今日は私が代弁したけど)としては

「サービス改善は優先順位をつけて対応します。値段は下げません。」

というものだった。

 

つまり、会社としては「何も対応していない」という答えだよね。お客さんからしても全く同じだ。私個人の話だけで言うと、やっぱりお客さんありき、だからお客さんの要望には当然ながら応えてあげたい。

 

ただ、小林くんも理解していると思うけど、少なくとも値段を下げるとなれば、同じサービスを受けている人たちにも値段を下げないといけないよね。また、いくら下げるか?という話になるけれど、例えば今5万円の商品だとして、1万円値引きをしたとしよう。このお客さんだけに値引きしたらいいと思うかな?違うよね?それはエコヒイキだよね?お客さんに言われたから、このお客さんだけ値引きするのは間違っていると思う。同じサービスを享受している人たちに失礼だよね。やるなら全員値引きしないといけない。

 

またこの商品に関しては、我々はネット企業だからここまで下げることができている部分もある。普通にシステム会社に同じものをその会社専用に作ろうとしたら、おそらく初期費用で300万円くらい、毎月の維持管理費用だけでも月に20万円くらいもらわないと利益が出ない。それを同じように初期費用なしで月5万円で使えるようにしているのだから、そこは理解してほしい部分だ。もし今回要望を言われているお客さんが、うちだけでも変えてくれ、と言うのであれば、それは「カスタマイズ」という手間が発生するので、値段が下がるのではなくて値段が上がる話になってしまう。

 

これは残念ながら根本的なサービス提供の仕方の問題だ。我々のように月額費用を安価で提供する分、数多くのお客さんに使ってもらわないといけないというビジネスモデルだ。だから1社にかける熱量はどうしても小さくなって、全体最適が一番重要になってくる。

 

だから、サービス改善に関しても正直言うと、今回のお客さんの要望であれば全体から見れば絶対すぐに改善すべき案件ではないので後回しになる。

 

結果、「会社としては何も対応できない」というのが本音だ。

 

これは言ってしまえば、我が社の「傲慢」でもある。それは認める。なぜなら全体最適を意識していて、全体が成長することで1社1社の企業もその成長を享受できるという考え方だから、逆を言えば1社1社の細かい対応はできない、という話。

 

で、これは小林くんを「言いくるめる」という話ではないことを理解してほしい。あくまで我々の会社はこういう方針で会社を運営しているというだけであって、小林くんが「なんでわかってくれないんだ」という気持ちや「このお客様にもっとベストな提案がしたい!」という気持ちは尊重されるべきものだ。だから、私は小林くんを個人的には否定する気はさらさらない。どちらかというと、「よくそういう想いになってくれた」と褒めるべきところだ。

 

もし、小林くんのその想いが強くて、このお客様にとってメリットがあり、我が社にもメリットがあるという解決策を提示できるのであれば、ぜひ提示をしてほしい。ただ、さっきも書いたけど、あくまで会社の方針は変わらない。売上をあげればそれでいいでしょ、というだけの問題でもないからだ。これは会社が大きくなればなるほどぶつかる壁だと思う。1社1社も大事にしながら、全体を成長させる、というのが理想ではあるけれど、最速で最高のパフォーマンスを出すために取っている戦略だということだ。

 

これが「納得できない」「いや、おかしい」というのであれば、それはいわゆる「考え方の違い」であり、小林くんが間違っているとか会社が間違っているという話ではない。考え方の違いはどこにでもあるわけで、どうしても間違っているのであれば、自分で会社を動かすか、自分で会社を作るか、誰かにそのサービスを作らせるか、そういう話になってくる。

 

ちなみに、この会社の社長も以前自分が所属していた会社で、「納得ができない」と言って、飛び出した人だ。でも社長はそれを形にした。この会社で形にしたんだ。それが理想の会社かどうか?は後世の人が決めることだし、お客さんが決めることだ。

 

だから、小林くんの意見が間違っているとか、小林くんがダメだなんて一言も言う気はない。ただ、会社の方針と小林くんの考え、そして小林くんのお客さんの要望が違うだけだ。だから、小林くんは正直にお客さんにこの話をしたほうがいい。そのほうが誠実だ。できるかも、とかやってみせます!みたいに勇み足で動くと余計に信頼をなくす。

 

だから、できないことはできない、私もその考えは違うと思います、しかし、会社の方針です。申し訳ございません。だけでいい。なんなら私が直接話に行ってもいい。

 

これは非常に重要なことだし、小林くんにとっても重要なことだ。

 

違いをきちんと認める。

 

そして、お客さんにとって我が社のサービスが納得できないのであれば、大変残念だが、違うサービスを使ってもらうしかない。我々も頑張らなければならないが、100人の人がいれば100人の考え方がある。今のところ、おそらくだけど60人くらいの人には納得してもらって我が社のサービスを使ってもらっている。残りの40人の人にも使ってもらいたいが、今はまだ我々の力及ばず、ということなんだろう。

 

屁理屈に聞こえるかな。

もし屁理屈に聞こえてしまうのであれば、私の伝え方がまだ足りないかもしれない。であれば、きちんと話し合おう。わかってくれる、という言い方はしたくない。ただ、考え方が違う、というだけであり、他の部分では相通じるものがあると思うからだ。100%同じ考えの人がいないように、100%理解は厳しいかもしれない。でも、できる限り会話をして違いを認めて、お互いを尊重し、そして一緒に仕事ができるように努めるのが私の仕事だと思っている。

 

今日もお疲れ様。